“『スーパーマリオブラザーズ』のゲームをスタートさせるときのことを思い出してみよう。
スタートボタンを押すと、主人公であるマリオがひとり画面左側に表示されており、右を向いている。
他のキャラクターは存在しないので、マリオを操作しなければならないことをプレイヤーはすぐに理解する。
そして画面右方向が空白であり、しかもマリオは右を向いているので、プレイヤーは無意識に右に進みたくなる。
仮に左に進もうとしても、進めないようになっている。どのみち、スタート直後にプレイヤーができることは、右に進むことだけなのだ。
否応無しにプレイヤーはマリオを右に進めることになる。実は、この時点で、すでにプレイヤーは『スーパーマリオブラザーズ』というゲームの目的を理解しているのだ。
その目的とは、まさに「右に進む」こと。
『スーパーマリオブラザーズ』というのは、究極的には「右に進む」だけのゲームなのだ。
ゲーム中、土管から地下や海に潜ったり、雲の上に行ったりなど、マリオは上下にも移動するが、出口は常に右にある。
正しいルートを通らねば抜けられない迷路もあるが、選ぶ道は上下であり、常に進む方向は右である。徹底した「右に進む」というゲームデザインに例外はない。
シンプルで迷わなくてよい世界。しかし同時に世界は深く、無数の発見がある。
シンプルさの中の多彩さ。これが『スーパーマリオブラザーズ』が多くのプレイヤーを魅了できた理由ではないのだろうか。右に進むことによって進行するゲームである『スーパーマリオブラザーズ』は、頑ななまでにそのルールを遵守した。
”
そう、ゲームを終える方法さえも、潔く「右に進む」ことにしたのだ。
だからクッパは溶岩の海にかかるつり橋の上にいなければならないし、一番右にはその橋を落とすための斧がなければならないのである。
すべては一番右に進んだマリオがゲームを終えることができるように。
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